ブログ中毒

善良な中年男が、ふとしたことからブログにのめりこみ心ならずも
犯罪に手を染めていく・・・ブログに魅入られ壊れていく男の話

光と影

藤井孝男は、
和歌山の出身だった。
子煩悩な両親と弟と妹、
温かい家庭で育った。


勉強は特別出来る方でもなく、
目立たないが素直で、
穏やかな孝男は先生に
可愛がられた。


同級生のあいだでは、
全く争うこともなく、
いつもにこにこ
笑っているので、
地蔵と呼ばれた。





県立の地元の高校を出た後
孝男は憧れていた東京に出た。
時はバブル。
東京に行けば何か
変わるような気がした。


実は、派手好きな一面もあり、
この頃女性歌手の
ファン倶楽部に入って、
コンサートで
ペンライト片手に
応援したりしていた。


務めたのは
小さな印刷会社だった。
残業も多かったが、
収入はそこそこあり
倹約家の孝男には十分であった。


一間の風呂なしアパートでの
一人暮らし。
窓から見える東京タワーが、
和歌山から来た孝男には
自分が都会の人間に
なったことを
祝福してくれている気がした。


唯一の趣味はドライブで、
いつか憧れの外車を買うために、
コツコツと貯金に励んだ。
ラーメンをすすったり、
パンの耳をもらい
食べることもあったが、
孝男は幸せだった。


頑張れば、なんでも
手に入る気がした。


憧れの外車を中古で
買えた時は、
世界を手にしたくらい
喜びでいっぱいだった。


バブルはあっという間に
はじけたが、
真面目で堅実な孝男には
あまり関係の無いことだった。
浮いた噂は無かったが、
女友達は多かったので、
格段淋しくもなかった。


30歳になった頃、
同じ職場の先輩から
女性を紹介される。
一目見た途端、
その女性に夢中になった。


麗子。名前のとおり、
いるだけでその場が
明るくなるような
華やかな美しい女性であった。


交際して半年。
麗子の方から
強引に結婚を迫られ、
ゴールインすることとなる。


このことが、大きく
人生をも狂わす事になるとは
幸せで何も見えなくなっている
孝男にはわからなかったろう。